遺贈と死因贈与の違い
1 遺贈と死因贈与とで異なる点
遺贈と死因贈与は、いずれも被相続人がお亡くなりになられた際に、被相続人の財産を特定の人に取得させることができるという点は共通しています。
もっとも、遺贈と死因贈与は、法的性質など異なる点も多くあります。
代表的なものとして、遺贈は単独行為であるのに対して死因贈与は契約であること、形式的な要件が異なること、不動産を取得した際の課税関係が異なることが挙げられます。
以下、それぞれについて説明します。
2 遺贈は単独行為であるのに対して死因贈与は契約であること
遺贈は、遺言者が相続人や受遺者等の意思と関係なく、単独で作成し、法的な効果を生じさせることができます(単独行為)。
これに対し、死因贈与は、贈与者と受贈者の双方が同意をしてはじめて成立します。
3 形式的な要件が異なること
遺言には主に自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類がありますが、いずれも法律により形式的な要件が定められており、形式的な要件を満たしていないと原則として無効になります。
一方、死因贈与は、理論上は贈与者と受贈者との間で、口頭で約束しただけでも成立します。
もっとも、口頭のみで死因贈与契約をしたとしても、他の人に対して死因贈与契約が成立していることを証明するのは困難ですので、実務上は死因贈与契約書を作成します。
可能であれば、公証役場で公正証書にしておきます。
4 不動産を取得した際の課税関係が異なること
⑴ 不動産取得税
遺言によって法定相続人が被相続人の不動産を取得した場合には、不動産取得税は非課税となります。
一方、死因贈与の場合、受贈者が法定相続人であったとしても不動産取得税が課されることに注意が必要です。
⑵ 登録免許税
不動産の所有権者が変更された場合には登記を行います。
登記の際に課される税金が登録免許税です。
遺言によって法定相続人が被相続人の不動産を取得した場合の登録免許税は、当該不動産の固定資産評価額の0.4%です。
死因贈与の場合、不動産を取得した受贈者が法定相続人であったとしても、登録免許税は当該不動産の固定資産評価額の2%となります。